飼い鳥に必要な健康診断についてお伝えします。
当院の健康診断の内容【郵送糞便検査】
当院(もも小鳥の動物病院 東京都江東区)では、小鳥の健康診断として郵送検査を行っています。
郵送で糞便の検査を行っており、2種類の検査があります。
一般的な糞便検査でメガバクテリア以外の病原体や消化機能も分かります
※診察(対面診療)とオンライン相談は休止中
健康診断の項目
飼い鳥の健康診断として行われる検査
・身体検査
・糞便検査
・そのう検査
・遺伝子検査
どこまで検査ができるかは動物病院によって異なります。
成鳥になったらレントゲン検査や血液検査も定期的に受けることをおすすめします。
身体検査
鳥さんを見て、触って、聴診して、体重をはかります。
糞便検査
糞便を顕微鏡で観察する検査です。
細菌叢、真菌、寄生虫、消化機能などが分かります。
当院では小鳥の健康診断として郵送糞便検査(メガバクテリア顕微鏡検査)を行っております。
そのう検査
そのうとは、消化管の一部です。
食道と胃の間にあり、食べ物を一時的に貯めておく袋状の器官です。
そのう検査は、顕微鏡で悪い菌やカビ、寄生虫がいないか調べます。
鳥さんの口からそのうに器具を入れて生理食塩水を出し入れする必要があります。
遺伝子検査
感染症のPCR検査です。
飼い鳥の注意すべき感染症であるPBFD(ウイルス)やオウム病(クラミジア)を調べるためには、遺伝子検査が必要です。
PBFDは同居鳥に、オウム病は人間にうつるため、一度は検査を行うことが推奨されます。
当院では鳥の健康診断として郵送で糞便の検査(遺伝子検査)を行っております👇
遺伝子検査について詳しくはこちら
糞便検査(顕微鏡検査)で分かること
・顕微鏡で見える病原体:細菌、真菌、寄生虫
・消化機能:未消化デンプン・脂肪
糞便検査は、鳥の動物病院でまず行う基本的な検査です。
糞便を生理食塩水で溶いて顕微鏡で観察します。
顕微鏡では、ウイルスやクラミジアは分かりません。
ウイルスやクラミジアの検査は遺伝子検査を行う必要があります。
当院では鳥の健康診断として郵送で糞便検査を行っております👇
郵送糞便検査(メガバクテリア顕微鏡検査)
フンの色や形(糞便 うんち)の正常と異常

正常なフン

飼い鳥(インコ・フィンチなど)の正常な糞便(フン うんち)の色は緑褐色です。
黒いフン

黒色便は、胃出血のサインです。
胃で血が混じると、胃から腸を経て便として出てくるまでに血が真っ黒になります。
健康な鳥で黒色便が出ることはありません。
鳥のうんちが真っ黒なのは明らかな異常です。
飼い鳥に多い病気「メガバクテリア」の症状の1つとして「黒色便(黒いフン、うんち)」があります。
黒いフンが見られたらメガバクテリアを疑いましょう。
メガバクテリアの症状
メガバクテリアの検査
郵送でメガバクテリア検査を行っています
白いフン

白色便は、消化不良を示します。
膵臓で消化酵素が十分に出ていないと、フンが白くなります。
濃い緑色のフン

濃緑色便は、病気のサインであることがあるため注意が必要です。
溶血性疾患(鉛中毒など)が疑われます。
形がないべちゃっとした濃緑色便は絶食便です。
餌を食べていないときに出るフンです。
緑色の餌を食べたときも、便の色が緑色になります。
赤いフン

鮮やかな赤色のフンは、餌(赤い野菜、果物、ペレットなど)の色であることが多いです。
血液が付着して赤いフンに見えている場合、病気の可能性が高いため注意が必要です。
お尻の穴、生殖器、腎臓などからの出血の可能性があります。
尿酸が黄、緑、赤色

鳥の糞便は、便と尿が一緒に出てきます。
尿(尿酸=正常では真っ白な液状の尿)の色がおかしい場合もあります。
尿酸が黄、緑、赤色の場合、肝不全や溶血性疾患(鉛中毒など)を示します。
粒便(便につぶつぶが混ざる)

鳥の餌(皮付餌などの種の餌、シード)が消化されず、糞便中に排泄されている便のことを言います。
餌の粒がそのまま便に出てくる場合と、少し消化されて細かいつぶつぶが便に混ざる場合があります。
鳥は歯がないので、食物をそのまま飲み込みし、胃(筋胃、スナギモ)の中ですり潰しています。
胃の機能が低下すると粒便になります。
原因として、メガバクテリア、胃炎、胃がんなどがあります。
メガバクテリアは飼い鳥(特にセキセイインコに多い)の感染症です。
必ず一度は糞便検査をしておきましょう。
メガバクテリアとは👇
郵送で糞便検査を行っています👇
下痢(便の形が崩れた水っぽい便)

便の形が崩れている水っぽい便は下痢の可能性があります。
下痢の原因:胃腸炎、胃がん、中毒、感染症など
※下痢ではなく多飲多尿であることが多いため見分けに注意が必要です
多飲多尿(便の形はしっかりしているが水っぽい便)
便の形はしっかりしている(筒状)が水っぽい便が見られたら、多飲多尿の可能性があります。
鳥は尿と便を同時に排泄するため、尿が多いと水っぽい便になります。
飲水量が体重の20%以上ある場合、病的な多飲多尿である可能性が高いです。
多飲多尿の原因:糖尿病、腎不全、肝不全、食事制限による空腹、換羽、産卵、発情、暑さ、水分の多い餌、塩土など
【下痢と多飲多尿の見分け方】
便の形 | 水っぽい原因 | 遭遇頻度 | |
下痢 | 形がなくべちゃべちゃ | 便の水分が多い | 少ない |
多飲多尿 | 排便直後は筒状の形がある | 尿が多い | 多い |
セキセイインコはメガバクテリア、文鳥はコクシジウムに注意
セキセイインコは、メガバクテリアという真菌(カビ)がいないか、
文鳥はコクシジウムという寄生虫がいないか、
糞便検査をしておきましょう。
メガバクテリアとは👇
郵送で糞便検査を行っています👇(文鳥のコクシジウムも検査できます)
健康診断に連れていく頻度とタイミング
小鳥は人間よりも早く年を取っていきます。
病気の進行も早いです。
人間では年に1回健康診断を受けることが多いですが、鳥さんの健康診断を受ける頻度は年に2~3回くらいが目安です。
お迎えしたらできるだけ早く健康診断を受けましょう。
最低限、糞便検査とそのう検査を受けましょう。
年に1回は遺伝子検査、血液検査、レントゲン検査まで受けてしっかりと健康診断することをおすすめします(バードドック)。
【当院の健康診断(郵送検査)】
鳥の病院が近くになくお困りの方に向けて郵送検査を行っています👇
郵送糞便検査
郵送遺伝子検査
健康診断の目的と必要性
病気を早期発見するため
飼い鳥の健康診断は病気を早期発見するためにとても重要です。
残念ながら、小鳥はお迎えした時点で感染症をもっていることがあります。
早期発見すれば治すことができる病気で鳥さんを死なせないために、お迎えしてから1度も動物病院に連れて行ったことがない場合は、今すぐ健康診断を受けることをおすすめします。
特にセキセイインコは、メガバクテリアという真菌(カビ)がいないか糞便検査をしておきましょう。
感染症をうつさないため
残念ながら、お迎えした時点で鳥が病気(感染症)を持っていることが少なくありません。
既に鳥を飼っており、新たにお迎えした場合は、感染症を持っていれば他の鳥さんに移ってしまうことがあります。
健康診断を受けるまでは近づけないようにしましょう。
また、人間にうつる病気(オウム病)もあります。
遭遇頻度は多くはありませんが、人間にうつると危ない病気です。
妊婦さんの死亡事例も報告されています。
鳥を飼うならば、鳥のためだけでなく、自分やまわりの人間の為に、オウム病の検査(遺伝子検査)を受けておいた方が安心です。
鳥の病院が近くになくお困りの方に向けて郵送で遺伝子検査を行っています👇
郵送遺伝子検査
鳥の飼育方法を知るため
鳥さんの状態に合わせて飼い方の指導をマンツーマンで受けることができます。
鳥さんのことで、なにか困ったことや気になったことがあれば病気のことではなくても、気軽に獣医さんに相談してみましょう。
その子に合った食事指導、ダイエット指導、発情抑制方法の指導などを受けることができます。
鳥の飼育に関する情報はどんどんアップデートされていきますので、最新情報を知る機会にもなります。
かかりつけの動物病院を確保するため
鳥の診療ができる動物病院は多くありません。
具合が悪くなってから動物病院を探していると、間に合わないことがあります。
健康診断で鳥の診療ができる動物病院を見つけておきましょう。
健康診断の方法
連れていく方法
方法を指定している動物病院もあるため、事前に確認しましょう。
移動中の温度管理に注意が必要です。
寒い時期や具合が悪いときは適切に保温できる方法で連れていきましょう。
鳥かご・ケージごと連れていく
鳥かごごと連れていく場合は、鳥さんが普段暮らしている状態そのままで連れて行ってください。
普段の鳥の生活環境についてアドバイスがもらえます。
水入れの中からお水は抜きましょう。
移動中に水がこぼれて鳥が濡れてしまうと、体が冷えて体調が悪くなること可能性があります。
キャリーやプラスチックケースに移す
鳥かごより小さいケースに移した方が移動は楽です。
電車移動もできます。
プラケースは、鳥さんの具合が悪いときに保温しやすいです。
(カイロで保温する場合は完全に密閉すると酸欠になるため要注意)
また、鳥さんが動き回らなくて済むので、看護用のお部屋としても使えます。
鳥さんを飼っている方は1つ用意しておきましょう。
セキセイインコ・文鳥くらいの大きさ
幅30.0×奥行19.5×高さ20.5cm
コザクラインコやオカメインコくらいの大きさ
幅37.0×奥行22.0×高さ24.0cm
人間の腕が出し入れしやすい大きさと形状のフタが付いているプラケースがおすすめです。
天井部分を全部外さないと出し入れできないものだと、すきまから鳥さんが飛び出てしまうことがあり、事故につながりやすいです。
写真ではキッチンペーパーを敷いていますが、なくても大丈夫です。
紙をかじって発情をうながしてしまう子や紙を食べるくせがある子の場合は入れないでください。

持ち物:新鮮な便を持っていく
糞便検査はできるだけ新鮮な便を取りたいので、基本的には移動~診察までの間にした便を取ります。
ただし、便をしてくれないこともあるので、おうちでなるべく新鮮な便をラップに包んで持参すると確実に検査が受けられます。
健康診断は鳥にとってストレスにならない?
鳥にとって通院や検査は少なからずストレスになります。
しかし、健康診断によって病気を早期発見できるメリットの方が大きいです。
健康診断に連れて行かないことで、病気の発見が遅れると、寿命より早く亡くなってしまうことがあります。
必ず一度は健康診断へ連れていきましょう。
ただし、鳥の扱いに慣れていない獣医師の場合、大きなストレスや事故につながるため、動物病院選びは重要です。
また、なかには過度の緊張で発作を起こす鳥がいます。
特に文鳥で多いです。
発作を起こしてしまう鳥の場合は、獣医師と相談して、通院や検査項目を減らして対応しましょう。
通院時の暑さ・寒さはストレスになります。
特に冬は適切に保温をして連れていきましょう。
鳥類の診療ができる動物病院の探し方
かかりつけの動物病院をもちましょう
鳥の診療ができる動物病院は限られています。
鳥を診られる獣医師が少なく、必要な器具、検査機器、薬もワンちゃんネコちゃんと違います。
具合が悪くなってから病院を探していては、手遅れになってしまうこともあり得ます。
普段から健康診断や爪切りなどに通い、かかりつけの動物病院を見つけておくと安心です。
首都圏では鳥さんを診られる病院も増えていますが、地域によってはとても少ないのが現状です。
緊急時に慌てないように、通える範囲にかかりつけ医を見つけておくと安心です。
そして、定期的(年に数回)に健康診断を受けることをおすすめします。
ホームページやブログを確認する
・鳥の病気や検査に関する情報
・鳥類の診療を専門的に行っている動物病院での勤務経験
・鳥類やエキゾチック動物の学会に所属
こうした記載があれば、鳥さんの診療の知識・技術・経験がある先生だと考えられます。
鳥専門の動物病院は数が少なく首都圏に限られています。
犬猫がメインでも、鳥の診療もきちんとできる動物病院はあります。
鳥さんの負担が少なくて済むよう、できるだけお家の近くで見つけられるといいですね。
電話で問い合わせる
インターネットで検索しても情報が得られない場合は、電話で聞いてみてください。
・鳥の健康診断を行っているか?
・どのような検査ができるか?
・鳥の来院数や割合は?
・そのう検査ができる→最低限の知識と技術がある
・鳥の来院数や割合が多い→日常的に鳥さんの診察を行っていて診療経験が豊富
・身体検査
・糞便検査
・そのう検査
(必要に応じて遺伝子検査、血液検査)
・レントゲン検査
・超音波検査(エコー検査)
・手術
・ペットホテル
獣医さんは診察を求められたら原則として断ることができません。
鳥さんの病気に関する知識や診療経験がほとんどなくても、「とりあえず連れてきてください」と言われる可能性があります。
一度診察を受けてから、別の病院を紹介されることもあります。
飼い主さんの手間と鳥さんの負担も増えますので、なるべく見極めてから連れていきたいですね。
まとめ
- 検査項目
最低限⇒身体検査・糞便検査・そのう検査
必要に応じて⇒遺伝子検査
成鳥になったら⇒血液検査・レントゲン検査 - 費用:数千円~数万円
- 頻度:年2~3回
【当院の健康診断(郵送検査)】
鳥の病院が近くになくお困りの方に向けて郵送検査を行っています👇
郵送糞便検査
郵送遺伝子検査
※郵送検査は通院の負担を減らすことができますが、健康診断の項目として十分ではありません。
一度は鳥の動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。