この記事では、メガバクテリアについてお伝えします。
メガバクテリアは治療しなければ、最終的には死に至る怖い病気です。
メガバクテリアとは胃に障害を起こす鳥の感染症
原因はメガバクテリアという真菌(カビ)の一種です。
鳥の胃に住み着き、胃障害、消化不良を起こし、徐々に時間をかけて痩せていきます。
早い段階で治療をしなければ、最終的には命を落とします。
メガバクテリアは人にはうつらない
メガバクテリアは人にうつりません。
感染症と聞くと、「人にうつりますか?」と心配される方も多いですが、自分自身やご家族に影響はありませんのでご安心ください。
ただし、鳥にはうつります。
お家に複数羽の鳥が居る場合は注意が必要です。
メガバクテリアは多くの種類の鳥に感染します。
糞便検査で早期発見することが重要です。
原因:マクロラブダス(メガバクテリア、AGY)という真菌(カビ)
【メガバクテリア画像】
原因:Macrorhabdus ornithogaster(学名)
多くのセキセイインコが苦しんでいるメガバクテリア症の原因は、鳥の胃に住む着く真菌(カビ)です。
日本語では「マクロラブダス」と読みます。
「メガバクテリア」、「AGY」とも呼ばれます。
メガバクテリアとは、この病気の原因が詳しく分かっていなかったときについた名前で、巨大な細菌という意味です。
AGYとは、Avian Gastric Yeast(鳥類の胃の酵母)という意味です。
鳥飼いさんの間ではメガバクテリアという呼び名が最も有名ですので、このサイトでは分かりやすいように「メガバクテリア」と統一して表現します。
メガバクテリアは、インコ・オウム・フィンチなどあらゆる鳥類に感染することが分かっています。
メガバクテリアにかかっている確率(セキセイインコ)
メガバクテリアはセキセイインコで広くまん延しています。
保有率は60~70%くらいとよく聞きますが、日本全国での調査は行われていないため、正確には分かりません。
自身の経験:50%以上
セキセイインコの新患では半数以上が陽性になるくらいの感覚で、メガバクテリアを見ない日はありませんでした。
飼い主さんへのアンケート結果:50%以上
X(旧Twitter)でセキセイインコの飼い主さんにお伺いしたところ、感染している鳥の方が多いという結果でした。
国内調査の一例:13%
千葉県の病院でセキセイインコについて調査が行われていますのでご紹介します。
一動物病院を初受診したセキセイインコ 392 羽を対象に,マクロラブダス症の疫学調査を実施した.
一動物病院におけるセキセイインコのマクロラブダス症の臨床疫学調査
その結果,392 羽中 51 羽(13.0%)からマクロラブダス症の病原真菌である Macrorhabdus ornithogaster(MO)が検出された.
海外:27~64%
セキセイインコの保有率は27~64%とされます。
(「コンパニオンバードの病気百科」小嶋篤史著より引用)
感染鳥種:セキセイインコ、マメルリハ、キンカチョウ、カナリアは要注意
感染鳥種(赤字は好発鳥種)
- セキセイインコ
- マメルリハ
- キンカチョウ
- カナリア
- オカメインコ
- コザクラインコ
- ボタンインコ
- ヨウム
- コンゴウインコ
- 文鳥
- コキンチョウ
- ニワトリ
- ウズラ
- ハトetc
オウム目、スズメ目、キジ目、ダチョウ目、カモ目、コウノトリ目など多くの種類の鳥で感染の報告があります。
セキセイインコ、マメルリハ、キンカチョウ、カナリアは好発鳥種で症状が強く現れるため特に注意が必要です。
必ず一度は糞便検査を受けることをおすすめします。
早期発見できれば薬で治療ができます。
オカメインコ、文鳥、ラブバード(コザクラインコ、ボタンインコ)など、どの鳥種でも、免疫力が下がった状態では問題を起こすことがあります。
メガバクテリアの感染経路
感染経路は親から子へうつる垂直感染が多いと考えられています。
ブリーダーやペットショップで感染することが多く、お迎え時した時点で既に感染しているケースがほとんどです。
お迎え後のすみやかな健康診断(糞便検査)が大切です。
症状:胃炎、吐き気、嘔吐、粒便、黒色便、痩せるetc
メガバクテリアは、治療が遅れると、胃の障害がひどくなり、メガバクテリアがいなくなった後も後遺症として症状が残ることがあります。
治療しなければ最終的には死に至ることもある病気です。
検査・診断:糞便検査や遺伝子検査(PCR検査)【郵送検査受付中】
メガバクテリアの検査としては、糞便検査(顕微鏡検査)が有用で一般的に行われています。
ただし、感染していても必ず便中に菌が出るわけではありません。
糞便検査をして見つからなかったとしても、感染していないとは言いきれません。
便の中に出てこなくても、鳥さんの体の中に隠れている可能性もあるからです。
定期的に健康診断を受けることが非常に重要です。
治療:抗真菌剤(飲み薬や注射)
薬で治療できる病気です。
抗真菌剤(カビをやっつける薬)を使います。
飲み薬(飲み水に混ぜるor直接口から飲ませる)を4~6週間くらい投与します。
注射をすることもあります。
耐性菌がみられることがあり、その場合は抗真菌剤の種類を変えて対応します。
メガバクテリア症の予後
早期発見で正しくしっかりと投薬できれば治ります。
発見が遅れると、胃の障害が大きく元に戻らないため、後遺症が残ることがあります。
年齢が進むほど、治療に対する反応が低下する傾向があると報告されています。
胃炎から胃ガンに発展したと考えられる例も見つかっています。
治療が不十分だと再発することも!
メガバクテリアが見つかったら、最初の治療が重要です。
お薬(抗真菌剤)を長期的に投与し、メガバクテリアをしっかりとやっつける必要があります。
糞便からメガバクテリアが消失しても、胃の中に残っていることも多いです。
1週間くらい投薬して糞便検査が陰性になったからといって、そこで治療を辞めてしまうと再発することが多いので注意が必要です。
治療後、無症状で検査も陰性だったのに、1~2年後に再発するケースもあります。
潜伏感染していることもありますので、一度メガバクテリア感染が見つかった場合は年に3回ほどの健康診断をお勧めします。
予防
メガバクテリアの感染の予防は難しいです。
お家にお迎えしたときには既に感染しているケースがほとんどだからです。
メガバクテリアに関しては検査を行なっていないブリーダーやペットショップの方が多いようです。
メガバクテリアに感染していない鳥をお迎えするには、メガバクテリアに感染していないことを確認した親鳥で繁殖を行っているブリーダーさんを探してみるのも1つの方法です。
同居鳥からの感染を防ぐためには隔離が必要です。
空気感染はしませんが、感染鳥のフンや吐物に接触することがないようにしてください。
適切な清掃・消毒を徹底してください。
発症の予防には早期発見・早期治療が重要です。
症状が進行してしまうと、後遺症が残り、予後が良くありません。
発症には免疫低下がカギを握っています。
ストレスによる免疫力低下を防ぐため、急激な冷えや生活環境によるストレスを感じることがないように注意することも大切です。
現状、飼い主さんにできる最も大切なことは、お迎え後の健康診断(糞便検査)です。
消毒
メガバクテリアの消毒剤については研究データがなく正確には分かりません。
カビ(真菌)であることから、塩素系の消毒剤が有効と考えられます。
お家で手軽に使える塩素系消毒剤はキッチンハイターです。
100倍希釈してスプレーするなどして使用できます。
ただし、塩素系の消毒剤は刺激性が強いため、鳥さんが直接吸い込まないように使用時は注意が必要です。
鳥さんのそばでは使わないようにし、使用後はよく洗い流すor拭き取って、塩素臭が残っていないことを確認してください。
塩素系消毒剤を避けるならば、消毒剤に頼らず物理的に洗い流すことも有効です。
中性洗剤で洗い、しっかりとすすぎましょう。
中性電解水(次亜塩素酸 Meau 旧AP水)は安全性が高いため安心して使用できます。
鳥の病院ではよく使われている消毒薬ですので、かかりつけの動物病院などで小分けで処方してもらえないか確認してみると良いでしょう。
まとめ:メガバクテリアは早期発見で治る病気!必ず検査を!
メガバクテリアは早期発見できればやっつけることができます。
治療できる病気だからこそ、メガバクテリアで症状が出ている子、その子がどんどん弱っていき死んでしまうのを見ると、本当に悔しいです。
愛鳥には適切な検査と治療を受けさせて、幸せに長生きさせてあげてください。