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飼い鳥の爪切りと止血方法について

この記事では、飼い鳥の爪切りと止血方法についてお伝えします。
爪切りは基本的に動物病院で行うことをおすすめしますが、お家でも人手と必要な物を準備すれば行なうことができます。
必ず出血時に対応できる準備を整えてから行なって下さい。

爪切り方法

必要な準備

  • 切れ味の良い爪切り
  • 止血剤(小麦粉や片栗粉ではなく動物の爪用の止血剤)
  • 鳥さんを包み込むことができる大きさのタオル(必要に応じて)
  • 2人体制(できる限り)
  • かかりつけの動物病院の確認(診療時間と電話番号)
2人で爪切りをするときの役割分担

・1人が保定(鳥を押さえる)
・1人が爪を切る
鳥の扱いに慣れている人が保定をやりましょう。爪切りは保定がとても重要です。

出血すること想定して準備を

お家で爪切りをするときは、かかりつけの動物病院の診療時間内に行い、出血が止まらなかった場合にすぐ連れていける準備を整えてから行いましょう。

爪切りを始める前に止血剤の粉を手元に出しておきましょう。

保定方法

爪切りは保定が重要です。保定がしっかりできていれば爪切りもすぐ終わります。

手で保定する方法

1人で行う場合

※鳥の扱いに熟練した人でなければ1人で保定しながら切るのは難しく事故につながりやすいためおすすめしません。

  • 利き手と反対の手で鳥の首を人差し指と中指ではさむ
  • 手の残りの部分は鳥の体に添えるだけ
  • 頭を上に、肩を下に、鳥の首を伸ばす

うまく保定できればこれだけで、鳥が暴れることができなくなります。

鳥を保定するとき押さえて良いのは首だけです。
(押さえるときに力は必要ありません。首を軽く指ではさむだけです。)
鳥の胸を押さえはいけません。
鳥の呼吸器は人間と違います。胸を押さえてしまうと呼吸ができません。鳥の胸を押さえるのは人間の首をしめているのと同じ状態です。

爪を切るときは、切る方の鳥の足を手繰り寄せて、人間の人差し指と親指で鳥の足を固定します。

右足を切るときの押さえ方👇

飼い鳥の爪切り時の保定(右足)

左足を切るときの押さえ方👇

飼い鳥の爪切り時の保定(左足)
2人で行う場合

基本の形は「1人で行う場合」と同じです。
2パターン紹介しますので押さえやすい方法で保定してください。
両手をフル活用して、鳥を全体的に優しく押さえましょう。

方法①

片手で鳥の首を人差し指と中指ではさんで、手のひらで鳥の背中側全体を包み込むように支え、人差し指と親指で鳥の足を固定します。
反対の手で、鳥のおしりの下~しっぽ辺りを押さえることで保定が安定し、切る人も爪が見やすくなります。

利き手と反対の手:首と足を押さえる
利き手:しっぽを押さえる

方法②

片手は鳥の首を持つことに集中し、もう片方の手の小指側の手の側面で鳥のおしりの下~しっぽ辺りを押さえながら、親指と人差し指で鳥の足をつまんで固定します。

利き手と反対の手:首を押さえる
利き手:足としっぽを押さえる

タオルで保定する場合

タオルを使った方がより安定して優しく鳥を押さえることができます。

タオルですっぽり鳥さんを包み込み、鳥の足だけタオルから出します。
タオルの上から手の感覚を研ぎ澄ませて鳥の体の構造を意識しながら押さえます。
押さえ方は「手で保定する場合」と同じです。

タオルを使えば、「手」ではなく「タオル」を悪者だと思わせるという効果もあります。

鳥さんの顔も体も見えなくなってしまうため、常に鳥さんの状態に細心の注意を払いながら押さえてください。

爪を切る長さ

正常な爪の形をイメージしながら切ります。
足の指の延長線上のラインで切ります。

爪の中には血管が走っています。
白爪の鳥は血管の先端より少し長めに爪が残るように切ることになります。
黒爪の鳥は血管が見えませんが、足の指の延長線上のラインで切るようにすれば安全にちょうど良い長さに切ることができます。

鳥が足をバタつかせて爪以外の部分を切ることがないように、切るときは鳥さんの足をしっかり固定します。(力は要りません。人間の指のはらでやさしくつまんでください。)

爪切りを持つ手を反対の手に触れた状態にすると、爪切りを持つ手が安定します。
切る部位を見定めたら、一発で切りましょう。

爪切りは慣れていないと難しいものです。
安全第一で無理はしないでくださいね。
時間がかかってしまったら、日を改めましょう。
飼い主さんが緊張していると、鳥さんにも伝わります。鳥さんの恐怖心が増し、より暴れるようになり、余計に爪切りが上手くいかなくなります。

おすすめの爪切り

鳥の病院でよく使用されている爪切りを紹介します。

小鳥専用爪切りの特徴
  • 爪切りの先端部の形状が小鳥の爪切りに最適
  • 切れ味が良い
  • 切るときに力が要らない

よく切れる爪切りを使うことで安全に爪切りを行うことができます。

一般的な人間用の爪切りは、切るときに切る部分が見えなくなるため相応しくありません。

止血方法

鳥の爪の中には血管が通っています。
血管が通っている部分まで深く切ると出血します。

止血に必要な物:止血剤は必須

止血剤

クイックストップという犬猫用の止血剤がおすすめです。
黄色い粉状の外用薬です。
薬(動物用医薬品)なので確実に止血効果があります。

この止血剤は爪専用です。
化学的にやけどを起こすことで血を止める薬です。

爪以外の部位には使用しないでください。

お家で爪切りをする場合は、出血することを想定して、すぐそばに止血剤の粉を適量出しておき、すかさず使える状態にしておきましょう。

ガーゼ(清潔なハンカチ、布、ティッシュ)

出血部を押さえたり、血を拭き取るのに使います。
清潔な物を用意しましょう。

小麦粉、片栗粉、線香(止血剤がない場合の応急処置)

小麦粉や片栗粉は鳥さんの口に入っても安全なので代用品として使われることが多いですが、止血効果は弱いです。

線香は止血効果がありますが、鳥さんにやけどをさせてしまう可能性があり危険です。
線香の煙による害も否定できませんので、日常的にこの方法を使うのはおすすめできません。

止血方法

止血時の注意点

鳥の胸を押さえないように注意しましょう。

息ができなくなります。

鳥の胸を押さえる=人間の首を絞めるのと同じです。

圧迫止血

出血部位を圧迫する(押さえる)方法です。

  • 人間の指で出血している鳥さんの爪の断面を押さえる
  • 10秒くらい押さえ続ける
  • 指を離して血が出ないことを確認する

このとき、押さえる指に力を入れる必要はありません。
爪の断面をぴったりとフタをするイメージです。

指を離したら血がにじみ出てくるようであれば、すぐに再度押さえてください。
数回試して血が止まらない場合は、次に紹介する「止血剤による止血」を行ってください。 

無事止血できても、直後に鳥さんが暴れたり、鳥さん自身が爪を気にしていじってしまうと再度出血することがあります。
止血後は再度出血していないか注意深く観察してあげてください。

止血剤による止血

  • 爪の断面をガーゼ等で押さえるようにして血をふき取る
  • ガーゼを離し止血剤の粉を出血部位に押しこむ
止血のコツ
  • 人間の指に止血剤の粉をたっぷり乗せる
  • 爪の断面に粉をぎゅっと押さえ込むように付ける
  • 塗るのではなく、粉を爪の断面に入れ込みフタをするようなイメージ

小麦粉や片栗粉による止血

やり方は「止血剤による止血」と同じです。

小麦粉や片栗粉に止血作用はありません。
粉が血で固まってかさぶたのような役割をすることで血を止めます。
止血部位で菌が増え感染症などのトラブルを起こす可能性があります。

小麦粉や片栗粉で止血した後は、動物病院で適切な処置を受けましよう。

線香による止血

爪の断面を焼くことで止血する方法です。

鳥さんと飼い主さんの火傷(やけど)に注意してください。

  • 線香に火をつけて炎を消す
  • 線香を出血している爪の断面にじゅっと当てて焼く

線香などで焼くことで止血する方法は、効果が高く消毒効果もありますが、線香の煙は鳥さんの体に害が出るおそれがあります。

血が止まらない場合は急いで動物病院へ

血が止まらない場合は、出血部を押さえたまま動物病院へ連れていきましょう。
血が流れ出てしまった分だけ命を失う可能性が高くなります。

到着したら速やかに処置が受けられるように、前もって動物病院に連絡を入れておくと良いです。

早く動物病院に連れていくことが重要ですが、血がついた物や止血で使用したガーゼ等を一緒に持っていくことができれば持っていきましょう。出血量を獣医さんに伝えることができます。

出血量:ぽたぽたと滴るくらい血が出たら命の危険あり

鳥さんの血液量はおよそ体重の10%です。
健康な鳥さんでは血液量の10%(体重の1%)を失うと命の危険があります。
体重30グラム(血液量3ml)なら出血すると危ない量は0.3ml、1滴0.05mlとすると6滴です。
セキセイインコなら6滴出血した時点で危機的状態ということです。
ぽたぽたとしたたるような出血の場合、あっというまに命を落とす危険があります。

動物病院での爪切りがおすすめ

お家で爪切りをする場合のリスク
  • 爪切りによる出血(止血できなければ命に関わる)
  • 爪切り時の間違った保定による事故
  • 飼い主さんと鳥さんの信頼関係が崩れるおそれ

爪切りを動物病院で行えば健康診断も受けられるので、できれば動物病院で行うことをおすすめします。

動物病院で爪切り方法を教えてもらうのもおすすめです。
爪切りを持参して、かかりつけの先生に相談してみてください。
安全に練習できますよ。

まとめ

  • 爪切りは動物病院で行なうのがベスト
  • お家で爪切りをするなら十分な人手とよく切れる爪切りを用意
  • 小鳥の出血は命にかかわるので必ず止血剤を準備し使い方を理解しておく

*鳥用に止血剤(クイックストップ)を小分け処方します(来院必要)

市販されている止血剤(クイックストップ)は小鳥さんには量が多いため、当院では小分けで処方しております。
1g500円です。
止血剤はお薬に該当するため、処方には診察が必要です。
ご希望の方は、診察の際にお申し出ください。
診療案内

最後までお読みいただきありがとうございました。

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