もも小鳥の動物病院 院長・獣医師 腰原真由
この記事は、鳥専門獣医師が、学術論文や獣医学書、診療現場での経験をもとに、飼い主さんの判断の助けになるよう整理しています。
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鳥の遺伝子検査の必要性
国内の鳥でしばしば見られる感染症には遺伝子検査で発見できるものがあります。
日本では飼い鳥の感染症のワクチンがなく、ブリーダーやペットショップでの感染症対策も十分ではないため、お迎えした鳥が感染症を持っていることは少なくありません。
現状では、飼い主さんが正しい知識を持ち、お迎え時に症状が出ていないか、検査が済んでいるかを確認し、必要に応じてお迎え後に検査を受けさせてあげる必要があります。
検査項目(感染症名・症状・鳥種・検体)
| 項目 | 症状 | 鳥種 | 検体 |
| 鳥クラミジア症 (オウム病) | 特徴的な症状なし 呼吸器症状、消化器症状など | 全種 | 糞便(血液) |
| PBFD (オウム類嘴羽毛病) | 羽、嘴の異常、免疫低下 | インコ・オウム (オカメインコはまれ) | 血液(糞便・羽・クロアカスワブ) |
| BFD (セキセイインコ雛病) | 羽の異常、呼吸器症状、消化器症状、神経症状 | インコ・オウム | 血液(糞便・羽・クロアカスワブ) |
| 鳥結核症 (鳥抗酸菌症) | 特徴的な症状なし 元気低下、下痢、尿酸黄色化など | 全種 | 糞便(血液) |
| メガバクテリア症 | 胃炎、嘔吐、黒色便など消化器症状 | 全種 | 糞便 |
| 鳥ボルナウイルス病(腺胃拡張症) | 腺胃拡張、嘔吐、神経症状 | インコ・オウム | 糞便(血液) |
- インコ・オウム類:
鳥クラミジア症、PBFD、BFD、鳥結核病、鳥ボルナウイルス病 - フィンチ類(文鳥など):
鳥クラミジア症、鳥結核病
鳥クラミジア症
保有率が高いわけではありませんが、人にうつるため定期的な検査をおすすめします。
人獣共通感染症で人間が感染するとオウム病と呼ばれます。
特に子供、高齢者、妊婦さんがいる場合は注意が必要です。
PBFD
小型鳥は1才、大型鳥は3才以下に感染することが多いです。
長い羽が抜ける、羽の形がおかしい、羽軸が黒いなどの症状があればPBFDを疑い検査を強くおすすめします。
PBFDは血液での検査が推奨されますが、糞便でも検査を行うことができますので、郵送遺伝子検査をご希望の場合はお受けします。
発症していれば常にウイルス血症を起こすため、検体は血液が推奨されます。
糞便・羽は感染していてもウイルスが含まれていないことがあり、検査結果が不安定になります。
メガバクテリア
遺伝子検査は潜伏感染の発見に有用です。
特にセキセイインコでは、潜伏感染していて通常の糞便検査で発見できず治療が遅れたために、後遺症が残る、手遅れになるケースがまれにあります。
本記事は獣医師として丁寧に解説していますが、あくまで一般的な内容です。 もし愛鳥さんの元気がない・膨らんでいるなど「おかしいな」と感じたら、ネットの情報だけで様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。飼い主さんの早めの判断が、小さな命を救います。

