- 爪切りで深爪をして、血が止まらなくなったらどうしよう…
- 暴れる愛鳥を無理に押さえつけて、嫌われたくない…

お家での爪切りによる事故(出血多量や骨折)は、残念ながら珍しいことではありません。 しかし、その原因のほとんどは「道具選びの間違い」と「自己流の保定(押さえ方)」にあります。
この記事では、鳥専門の獣医師が、動物病院で実践している爪切り方法と止血対応をお伝えします。
- 必要性と頻度:爪切りは必要、月1回を目安にチェック
- 爪の長さ:血管の少し手前まで、または指のラインの延長線上まで切る
- 道具:切れ味の良い爪切り(ニッパー)と止血剤が必須
- 獣医師のおすすめ:「備長炭止まり木」で爪切りの回数を減らし、動物病院で年3回の健康診断と一緒に爪切りをするのがおすすめ
この記事を読めば、愛鳥の爪切りを安全に行い、信頼関係を守ることができます。
最後までお読みいただけますと幸いです。
もも小鳥の動物病院 院長・獣医師 腰原真由
この記事は、鳥専門獣医師が、学術論文や獣医学書、診療現場での経験をもとに、飼い主さんの判断の助けになるよう整理しています。
▶プロフィールはこちら
鳥の爪切りは必要?不要?しないとどうなる?
飼い鳥には爪切りが「必要」です。
「野生の鳥は切らないのに、なぜ?」と思いますよね。
理由は、生活環境の違いです。
【野生と飼育下の違い】
| 環境 | 爪の状態 | 理由 |
|---|---|---|
| 野鳥 | 自然に削れる | 様々な質感や太さの木に止まる |
| 飼い鳥 | 伸びすぎる | 止まり木が均一 運動が少ない |
爪切りをしないと、愛鳥の体に3つの深刻なリスクが生じます。
- 怪我のリスク
伸びすぎた爪が鳥かごの網やカーテンなどに引っかかって、骨折などの大怪我につながります。 - 骨や関節の変形
爪が長いと爪先が邪魔になり、指がねじれた状態で骨や関節が変形し、元に戻らなくなります。特に文鳥によく見られます。 - 爪の中の血管・神経が伸びる
爪の中の血管と神経は、爪と一緒に伸びていきます。
血管が伸びてしまうと、爪を少し切っただけで出血するようになり、適切な長さに切ることが難しくなります。
爪切りの道具
安全に爪切りを行うためには、事前の準備がとても大切です。
必ず止血剤を手元に用意してから始めましょう。
おすすめの爪切り:ニッパー(工具)
鳥の爪切りは、ニッパー(工具)が最もおすすめです。
よく切れるニッパーを使うことで安全に爪切りを行うことができます。
おすすめのニッパーを紹介します。
動物病院でも使用されています
上記商品「小鳥専用ツメ切り」は、下記の「工業用ニッパー」と同じものです。
製造時に塗られている工業用油を除去し、メンテナンスオイル(鳥に安全な油)とマニュアルを付属した商品です。
メンテナンスオイルが不要であれば、工業用ニッパーを選んでも問題ありません。
ただし、工業用ニッパーを購入した際は、刃先に付着している油分をティッシュやアルコール綿でしっかり拭き取ってから使用してください。






ニッパーが良い理由
刃先が鋭く小さいニッパーには、以下の大きなメリットがあります。
- 狙い通りに切れる
- 出血リスクを最小限にする
- 痛くない
刃先が細いため、小さな鳥の爪でも「ここ!」という位置を正確に狙えます。
また、切れ味が良いため、爪に圧力をかけずに切断でき、鳥への負担が最小限で済みます。
人間用・犬猫用がダメな理由
人間用の爪切りや犬猫用爪切りは、以下の理由からおすすめできません。
- 出血リスクが高い
- 指の怪我や深爪のリスクがある
- 鳥が痛がる
刃の幅が広く、切る位置(血管の位置)が見えにくいため、誤って血管まで切ってしまう事故が起きやすいです。
さらに、切れ味が鋭くないため、爪を「スパッ」と切断できず、「押し潰す」ような切り方になってしまいます。
これが鳥にとって痛みや衝撃となります。
止血剤 クイックストップ
必ず、「止血剤」を用意してください。
爪切り中、どんなに注意していても深爪をして出血させてしまうことはあります。
鳥の爪の中には血管が通っており、血管が通っている部分まで深く切ると出血します。
獣医師が爪切りをしても、出血することはよくあります。
「爪切りは出血が伴うもの」と考えて、「出血した時にすぐに止められる準備をしておくこと」が重要です。
多くの獣医師が、犬猫用の止血剤である「クイックストップ」を愛用しています。
黄色い粉状の外用薬です。
薬(動物用医薬品)なので確実に止血効果があります。
クイックストップが選ばれる理由
- 止血効果が高い
- 実績があり安全
クイックストップは、長年多くの動物病院で鳥の爪切り時に使用されてきた実績があります。
化学的に出血を止める作用があり、正しく使えばすぐに止まります。
この止血剤は爪専用です。
化学的にやけどを起こすことで血を止める薬です。
止血剤の代用品とNG行為
止血剤がない場合、家庭にある「小麦粉」や「片栗粉」で代用することもあります。
ただし、これらは物理的に血を固めるだけなので、止血効果は弱いです。
あくまで非常用と考えてください。
「線香で焼く」止血法は、火傷や煙による呼吸器障害のリスクがある大変危険な行為です。
現在は推奨されていませんので、行わないでください。
爪切りの頻度:1ヶ月〜2ヶ月に1回
爪切りの頻度は1ヶ月〜2ヶ月に1回が目安です。
ただし、鳥の飼育環境、年齢、健康状態によって伸びるスピードは変わります。
期間より爪の状態を見て判断することが大切です。
- 高齢・肝臓病
- 運動不足
- 止まり木の影響
爪の主成分である「ケラチン」は肝臓で作られています。
そのため、肝機能が低下したり、代謝異常が起きたりすると、爪が異常に早く伸びたり、変形したりすることがあります。「爪が伸びるのが早い」という場合は、病気のサインの可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
愛鳥の健康を守るためにも、「月1回」を目安に爪の長さをチェックしてあげてくださいね。
「爪とぎ」止まり木で爪切りの回数を減らせる
「爪とぎ」ができる止まり木を使えば、爪の伸び過ぎを防ぎ、爪切りの回数を減らすことができます。
おすすめの爪とぎ止まり木
お家での爪切りや通院が難しい場合の爪の管理の方法の1つとして、爪とぎ止まり木を使用することができます。
爪とぎ止まり木としては、備長炭、セメント、コンクリート、自然木と種類があります。
獣医師としておすすめするのは「備長炭のとまり木」と「自然木の止まり木」です。
| 種類 | 爪とぎ効果 | 推奨設置場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 備長炭 | ◎(高い) | エサ入れ・水入れの前(短時間だけ止まる場所) | ずっと止まっていると足裏を痛める可能性があります。 |
| 自然木(ニーム等) | ○(中) | メインの止まり木・寝床(長時間過ごす場所) | 劇的な研磨力はありませんが、足に優しく安全です。 |
備長炭とまり木
獣医師の間で最も評価が高い爪とぎ止まり木です。
硬く摩擦力が強いため、止まっているだけで爪が研磨されます。
「爪切りが必要ないくらい効く」という声も多く、正しく使えば効果は高いです。
備長炭の止まり木の商品例

備長炭止まり木の注意点
- 足の裏への負担(バンブルフット)
硬いので、足の裏を傷つけるおそれがあります。
タコができたり、炎症を起こすリスクがあります。
特に体重が重い鳥や老鳥には負担が大きくなります。 - 栄養素の吸収阻害
炭には物質を吸着する性質があります。
備長炭をかじってしまう場合、アミノ酸やミネラルなどの栄養素を吸着して排出してしまうリスクがあるため、使用を控えてください。
「備長炭を食べていないか?」「足の裏と爪の状態が良いか?」を確認しながら使用してください。
備長炭止まり木の正しい使い方
足の裏の健康を守るために、以下のルールで使ってあげてください。
- 「1本だけ」交換する
ケージ内の止まり木をすべて備長炭に変えてはいけません。
硬すぎて足への負担が大きすぎます。
「メインの止まり木は足に優しい自然木」にし、「サブの1本だけ」を爪とぎ用に変えてください。 - 設置場所は「特定のスポット」にする
鳥が1日中ずっと止まっている場所(寝床など)ではなく、「必ず行くけれど、長時間はいすぎない場所」に設置するのがコツです。
おすすめは「餌箱の前」や「水入れの前」です。 - 短期間だけ使う(期間限定)
獣医師も推奨する方法として、「爪が伸びてきたら設置し、削れたら取り出す」という使い方も有効です。
常時設置による足への負担や、誤食による栄養阻害のリスクを避けることができます。 - 深爪した直後は使わない
もし爪切りで出血させてしまった場合、傷口が治るまではザラザラした止まり木の使用を控えてください。傷口が擦れて再出血する恐れがあります。
備長炭パーチは、正しく使えばおすすめできるケア用品です。
足の裏の状態や誤食がないかを観察しながら、取り入れてみてください。
自然木の止まり木
ニームなどの表面に凹凸がある天然木の止まり木もおすすめです。
備長炭ほどの劇的な研磨力はありませんが、太さが均一でないため足裏の特定箇所に負担がかかり続けるのを防ぎます。
足に優しく、かじっても安全なので「メインの止まり木」として最適です。
止まり木にはサイズ(太さ)があります。鳥種にあった商品を選んであげてくださいね。
サンドパーチは危険
「サンドパーチ」は獣医師としては使用をおすすめしません。
サンドパーチとは、「紙やすりが付いた止まり木」、「表面に砂を固着させた止まり木」のことを指します。
爪やすりとしての効果をうたった商品ですが、効果はあまり期待できません。
- 足裏に傷ができて炎症を起こすリスク(バンブルフット)
- 砂を飲み込み胃に大量に砂が溜まる事故(グリッドインパクション)
上記の事故が実際に発生しています。
爪が削れるメリットよりも、リスクがはるかに上回りますので避けましょう。
爪の長さはどれくらい?どこまで切っていい?
正常な爪の形をイメージしながら切ります。
足の指の延長線上のラインで切ります。

- 指が浮いている(テーブルなどの平らな場所に止まった時、爪先が突っ張ってしまい、指先が浮き上がっている状態)
- 引っかかりが見られる(服やカーテン、ケージの網などに爪が引っかかる様子がある場合)
白爪の鳥は、血管の先端より少し長めに爪が残るように切ることになります。
黒爪の鳥は、血管が見えませんが、足の指の延長線上のラインで切るようにすれば安全にちょうど良い長さに切ることができます。

爪切りで来院しても爪があまり伸びておらずほとんど切るところがないケースがよくあります。そんな子がもしお家で爪切りをしたら深爪して出血しまいます。「爪の適正な長さ」を見定めることが大切です。
爪切り方法
爪切りで最も大切なのは「安全」です。
【爪切りの全体像:3ステップ】
- 準備 人間、道具、緊急時の準備をしておきます。
- 保定(ほてい) タオルを使って、鳥が動かないように優しく固定します。
- 切る 血管を避けて、少しずつ先端を切ります。
- 止血(もしもの時) 万が一血が出たら、すぐに止血剤を使います。
焦らず、以下の手順で進めていきましょう。
準備
鳥を捕まえる前に、準備が大切です。
できれば2人体制が安全でおすすめです。
- 止血剤はすぐに使えるようにフタを開けておく
- 止血方法を理解しておく
- すぐに動物病院へ連れていける状態にしておく
出血が止まらなかった場合に備えて、かかりつけの動物病院の診療時間と電話番号を確認しておき、診療時間内に爪切りを行うことをおすすめします。
・1人が保定(鳥を押さえる)
・1人が爪を切る
鳥の扱いに慣れている人が保定をやりましょう。爪切りは保定がとても重要です。
保定方法
爪切りは保定(動かないように押さえること)が重要です。
保定が安全にしっかりできていれば爪切りは簡単にすぐ終わります。
タオル保定がおすすめ
保定には「素手」と「タオル」の2つの方法がありますが、「タオル保定」がおすすめです。
保定は、獣医師でも習得に時間がかかる技術です。
素手での保定は、難しく事故につながりやすいため、飼い主さんにはおすすめしません。
タオルを使った方がより安定して優しく鳥を押さえることができます。
タオル保定のやり方
手順
- タオルで鳥の体全体を包む(翼をたたみ「気をつけ」の姿勢にする)
- タオルの上から「鳥の首」を人差し指と中指で押さえる(利き手と反対の手)
- タオルの外側に鳥の足だけ出す
- 鳥の足の指を1本ずつ根元(付け根)から押さえて爪切りをする
- 常に鳥の様子を確認(胸を押さえていないか?元気か?)
押さえ方
鳥の体の「押さえ方」を写真でお伝えします。
分かりやすいようにタオルを使っていません。
飼い主さんは、タオルの上から同じ場所を押さえてください。
押さえて良い場所は、鳥の「首」だけです。
人間の人差し指と中指で鳥の首をはさむように押さえます(2点保定)。
押さえるときに力は必要ありません。首を軽く指ではさむだけです。
1人で爪切りをする場合は、利き手と反対の手で保定します。
右利きなら左手で鳥を押さえ、右手で爪切りをします。

鳥が足をバタつかせて爪以外の部分を切ることがないように、切るときは鳥さんの足をしっかり固定します。
鳥の足の押さえ方は、指を根元(付け根)から優しく持ち、動かないようにしてから切ります。
爪先だけを持つと引っ込められて危険です。
力は要りません。人間の指のはらでやさしくつまんでください。
(参考)素手で1人で爪切りをするときの保定【非推奨】
獣医師が1人で爪切りをするときの方法は以下の写真のように保定しています。
飼い主さんは真似しないでください。


切り方
道具は人間用ではなく、切れ味の良いニッパー(工具)を使います。
以下の手順で進めてください。
① 1本ずつ固定
保定した状態から、切りたい足の指を一本だけ出し固定します。
②切る位置の目安
- 白い爪の場合
光に透かすとピンク色の血管が見えます。その血管の先端から1〜2mmほど余裕を残して切ります。 - 黒い爪の場合
血管が見えないため、一度に短くしようとするのは危険です。先端の尖っている部分を少しずつ削ぎ落とすように切っていきます。
長さの目安として、指の腹(裏側)のラインの延長線上よりも少し外側で止めると安全です。
③寸止め確認してから一発で切る
切りたい位置にニッパーの刃を当て、軽く挟んで反応を見ます(まだ切りません)。
鳥さんが「ビクッ」としたら神経が近い証拠です。
反応がなければ、切る部位を見定めて、一発で切りましょう。
ためらうと断面が汚くなったり、鳥が怖がって動いてしまいます。
手を安定させるコツ
爪切りを持つ手を、反対の手に触れた状態にすると、爪切りを持つ手が安定します。 これで手ブレを防ぎ、狙った位置を正確に切ることができます。
④1本ずつ欲張らずに
血管を避けて、少しずつ先端を切ります。 必ず1本ずつ切ります。
1本切ったら褒めるなどして、鳥の呼吸が乱れないように注意してください。
爪切りができない・暴れる場合は無理せず中断しよう
鳥が暴れてしまう、鳥の呼吸が荒くなってきた場合は、無理せず中断してください。
時間がかかってしまったら、日を改めましょう。
飼い主さんが緊張していると、鳥さんにも伝わります。
鳥さんの恐怖心が増し、より暴れるようになり、余計に爪切りが上手くいかなくなります。
爪切りは難しいです。
獣医師もたくさん練習してできるようになります。
- 1人で難しければ2人でやる
- 動物病院やペットショップで爪切りしてもらう
- 爪とぎができる止まり木を使用する(爪切り回数を減らせる)
愛鳥のため、安全第一で無理はしないでくださいね。
止血方法
爪切り中に血が出てしまっても、飼い主さんがパニックになってはいけません。
冷静に対処すれば血は止まります。以下の手順で落ち着いて止血を行ってください。
出血したら「止血剤」
動物病院でも使われている、最も確実な方法は「止血剤(クイックストップ)」を使うことです。
爪切りをする際は、必ず蓋を開けて手元に用意してから始めましょう。

- 人間の指に止血剤の粉をたっぷり乗せる
- 爪の断面に粉をぎゅっと押し込むように付ける
塗るのではなく、粉を爪の断面に入れ込みフタをするようなイメージ
さっと塗るだけでは効果が薄く、血で流れてしまいます。 粉を爪の断面に「詰め込む」ように、ギュッと数秒間押し当てるのがコツです。
- 爪の止血時の痛み
化学的にやけどをさせて止血するため、痛みを感じることがあります。クイックストップには局所麻酔薬も含まれており、痛みは一瞬ですので、ためらわず止血してください。出血が続くと命にかかわります。 - 皮膚にはNG
クイックストップは爪専用の薬剤です。皮膚や粘膜につくと強い炎症と痛みを引き起こすため、爪以外の傷には絶対に使わないでください。
止血剤がないときの代用方法(小麦粉・片栗粉)
止血剤がない緊急時には、応急処置として以下の方法で止血します。
- 圧迫止血10秒間
- 小麦粉・片栗粉で止血
- 動物病院へ連れて行く
圧迫止血
軽度の出血の場合は、出血部位を物理的に押さえて血を止めます。
- 清潔なティッシュなどで血液を拭き取る
- 人間の指で出血している鳥の爪の断面を押さえる
- 10秒間圧迫し続ける
- 指を離して血が出ないことを確認する
一度試して血が止まらなければ、小麦粉・片栗粉で止血を行ってください。
止血後は再度出血していないか注意深く観察してあげてください。
小麦粉や片栗粉で止血
止血剤がない場合の応急処置として、小麦粉や片栗粉を使うことができます。
- 指でたっぷりと粉をつまむ
- 出血している爪に粉を押し付ける
- 血液を吸って固まることで、かさぶたのように蓋になる
再出血のリスクや止血部位の感染症などのトラブルを起こす可能性があります。
小麦粉や片栗粉で止血した後は、動物病院で適切な処置を受けましよう。
線香で焼く止血はNG
昔は、線香で爪の断面を焼いて止血する方法が行われていたことがありました。
古い飼育書を見ると記載されていることがあります。
しかし、線香で焼く止血は、火傷や煙による呼吸器障害のリスクがあり、大変危険な行為です。
現在は推奨されていませんので、行わないでください。
出血が止まらないときは動物病院へ
血が止まらない場合は、出血部を押さえたまま動物病院へ連れていきましょう。
血が流れ出てしまった分だけ命を失う可能性が高くなります。
到着したら速やかに処置が受けられるように、前もって動物病院に連絡を入れておくと良いです。
早く動物病院に連れていくことが最重要ですが、血がついた物や止血で使用したガーゼ等を一緒に持っていくことができれば持っていきましょう。出血量を獣医さんに伝えることができます。
爪切りの死亡リスクと危険な出血量
健康な鳥さんであれば、爪切りの出血だけで死亡することは極めて稀です。
ただし、体の小さな鳥さんにとっては、「数滴の出血」で命の危険があります。
鳥さんの血液量は、体重の約10%です。
そのうち、命に別状がない安全な出血量は、体重の約1%までとされています。
このラインを超えると、ショック状態や死亡のリスクが一気に高まります。
飼い主さんに知っておいてほしい目安は、次の通りです。
- セキセイインコ:6〜7滴で危険
- オカメインコ:30滴で危険
重要なのは、見た目に惑わされないことです。
1滴しか血が出ていなくてもティッシュが真っ赤になると大量に出血したように感じてしまうと思います。
本当に危険なのは、 血がポタポタと落ち続ける状態です。
爪の先端だけを切ってちょっと深爪したくらいでは、通常ポタポタと落ちるほどの出血は起こりません。
もし切る場所を誤ってケガをし、「1秒に1滴出血したら、わずか7秒で危険な状態」になります(セキセイインコの場合)。
出血が止まらない場合は、 圧迫止血を続けながら、すぐに動物病院へ向かってください。
なお、実際の死亡リスクは、 出血そのものよりも別の要因で高まることが多いです。
- 出血に動揺して胸を強く握ってしまうことによる窒息
- 肝臓病などの基礎疾患による止血不良
落ち着いて対応することが、 鳥さんの命を守る最大のポイントです。
動物病院での爪切りがおすすめ
爪切りは動物病院で行うことをおすすめします。
ペットショップでも、「鳥の専門店」や「鳥に詳しいスタッフがいる店」であれば、爪切りをお願いすることができます。
お家での爪切りはリスクが大きい行為です。
- 爪切りによる出血(止血できなければ命に関わる)
- 爪切り時の間違った保定による窒息
- 鳥に嫌われる
少しでも不安があれば、プロにお願いしましょう。
爪切りの料金相場は500〜1000円
爪切り単独の場合、500円〜1000円程度が一般的です。
診察のついでであれば、無料で対応してくれる動物病院もあります。
動物病院での爪切りのメリット
動物病院での爪切りは、通院の負担がありますが、それ以上の大きなメリットがあります。
安全性の確保
プロは、鳥を窒息させない正しい持ち方(保定)を熟知しています。専用の道具と止血剤があるため、万が一の出血にも即座に対応できます。
爪切りを同時に健康診断も受けられるので、愛鳥の健康と長生きにつながります。
鳥との信頼関係を守れる
鳥は「爪切りの必要性」を理解できません。
無理に行うと「嫌なことをされた」という記憶が残り、信頼関係が崩れるリスクがあります。
家族以外の「他人(獣医師や店員)」に嫌われ役を任せることで、飼い主さんは「助けてくれる優しい人」というポジションを守ることができます。
まとめ
爪切りは愛鳥の健康と安全のために必須ですが、無理に自宅で頑張りすぎて怪我をさせたり、信頼関係を崩したりするのは避けたいものです。
お家でのケアを安全に行うためには、「切れ味の良いニッパー」と「止血剤」の準備が欠かせません。
また、「備長炭止まり木」を活用して伸びすぎを防ぎつつ、数ヶ月に一度の「動物病院での健康診断」のタイミングでプロに綺麗に整えてもらうのも一つの方法です。
このサイクルが、飼い主さんくとっても鳥さんにとっても一番ストレスが少なく、安全なおすすめの方法です。
愛鳥に合った方法で、無理なくケアしてあげてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事は獣医師として丁寧に解説していますが、あくまで一般的な内容です。 もし愛鳥さんの元気がない・膨らんでいるなど「おかしいな」と感じたら、ネットの情報だけで様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。飼い主さんの早めの判断が、小さな命を救います。


