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【獣医解説】換羽期とは?いつ起こる?元気がない時の症状と4つの対策

こんな悩みに答えます
  • 最近、羽がたくさん抜けて心配…これって換羽?病気?
  • 換羽期っていつまで続くの?元気がなくて不安…

換羽とは鳥類の羽が生え変わる生理現象です。
新しい羽を作り出すための栄養がたくさん必要になり、体力を消耗するため、体調を崩しやすい時期です。

ピーちゃん
ピーちゃん

換羽は鳥にとって命がけのイベントだよ!

この記事では、鳥専門の獣医師が、「換羽の症状」や「病気との見分け方」を詳しく解説します。
特に「飼い主さんにできる愛鳥のための換羽対策」をしっかりとお伝えします。

この記事を読めば、換羽期の不安がなくなり、愛鳥さんを安全にサポートできるようになります。
必要な飼育用品まで具体的にお伝えします。
「いつ病院に連れて行くべきか」の判断基準も分かるので、緊急時に迷いません。

もも小鳥の動物病院
もも小鳥の動物病院

愛鳥のために適切な食事や環境を整えて、鳥さんにとってつらい時期を一緒に乗り越えてあげましょう。

運営者 

もも小鳥の動物病院 院長・獣医師 腰原真由
この記事は、鳥専門獣医師が、学術論文や獣医学書、診療現場での経験をもとに、飼い主さんの判断の助けになるよう整理しています。
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換羽とは:鳥の羽が生え替わること

換羽(かんう)とは、鳥の羽が生え替わる生理現象です。
古い羽が抜けて、新しく羽が生えてきます。
換羽のことを別名「とや(鳥屋)」と呼ばれることもあります。

換羽の目的
  • 修復
    傷ついたり擦り切れたりした古い羽を新しい羽に入れ替えるため
  • 繁殖の準備
    繁殖期に向けて、オスがメスを魅了するために美しい色の羽に変わるため。
  • 体温調節
    寒い冬に備えて、保温性の高い羽(冬羽)やダウン(綿毛)を増やすため

換羽の時期は、エネルギーを非常に多く使うため、鳥さんにとっては「体がしんどい時期」でもあります。いつも以上に、優しく寄り添ってあげてくださいね。

換羽の仕組み

換羽は、日照時間やホルモンの変化によって引き起こされます。

換羽の仕組み
  1. 日照時間(季節の変化)を感じる
  2. ホルモンが出て換羽が起きる

雛換羽とは

ヒナの羽から大人の羽へと生え変わる最初の換羽のことを、雛換羽(ひなかんう)と言います。

風切羽や尾羽を含む全身の羽が抜け替わります(全身換羽)。

全身を作り変えるため、体に大きく負担がかかります。

筆毛とは(ツクツク・ツンツン)

筆毛(ふでげ)とは、新しく生えてきたばかりの羽のことです。

「羽鞘(うしょう)」というストロー状の鞘(さや)に包まれて生えてきます。
そのため、ツクツクツンツンした見た目になります。

伸び切ると鞘がほぐれて、中からフワッとした羽が出てきます。

生えかけの筆毛の根元には血液が通っているため、オカメパニックや事故でぶつけて筆毛が折れると出血します。根本から羽を抜けば血は止まりますが、飼い主さんには難しいです。出血部位を押さえたまま動物病院へ行きましょう。

換羽期はいつ?時期、頻度、期間

野生の鳥の換羽は、年2回、季節の変わり目に起こります。

換羽の時期(季節)
  1. :繁殖前の部分換羽(風切羽や尾羽以外が部分的に生え変わる)(夏羽)
  2. :繁殖後の完全換羽(全身の羽が生え変わる)(冬羽)

一方、飼い鳥の場合、季節感(日照時間や温度)が一定で曖昧なため、換羽が不規則になりがちです。年に3〜4回起きたり、ダラダラと続いたりすることがあります。

換羽の期間は、1〜2ヶ月が目安です。

換羽期の症状

換羽期は体に大きな負担がかかる時期です。様々な症状が見られることがあります。

換羽による症状
  • イライラする
  • 元気がない・膨らむ・寝てばかりいる
  • 食欲の変化
  • 体重減少
  • 気持ち悪い・吐き気・えずく
  • 多尿

イライラする

ホルモンバランスの変化や、羽が生えてくる際の皮膚のムズムズ感から、イライラしたり攻撃的になったりすることがあります。

元気がない・膨らむ・寝てばかりいる

換羽は羽の材料を作るためにエネルギーを大量に消費します。
そのため疲れやすく、寝ている時間が増えたり、膨らんでじっとしていることがあります。

食欲の変化

換羽による疲れや体調不良から、食欲が落ちることがあります。
換羽はエネルギーが必要になるため、逆に食欲が増すこともあります。

体重減少

羽を作るのに必要な栄養はたんぱく質です。
換羽中にタンパク質が不足すると、筋肉を壊して羽を作る材料にします。
そのため体重が減りやすくなります。

気持ち悪い・吐き気・えずく

羽繕いをした際に、筆毛からはがれた鞘(白い粉)が喉に張り付くと、「オエッ」とえずいたり、あくびを繰り返したりすることがあります。これは一時的な症状ですので、すぐに落ち着くはずです。

それとは別に、換羽による体力低下や冷えで胃腸の働きが落ち、吐き気が出ることがあります。
吐き気が見られたときは注意が必要です。

軽い吐き気だけでなく、

  • 餌を吐き散らしている(顔が汚れている)
  • 体重が減少している
  • 元気がなく膨らんでいる

このような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
動物病院を受診する目安

多尿

換羽期は甲状腺ホルモンが分泌されて代謝が上がり、体内で作られる水分が増えるため、尿の量が増えることがあります。

換羽期の対策

換羽期は、新しい羽を作るために、エネルギーを大量に消費する時期です。
体温が下がりやすく、免疫力も落ちています。
そのため、飼い主さんがしっかりサポートしてあげることが大切です。

換羽期の対策
  • 高タンパクな餌・栄養剤
  • 体重測定
  • 保温
  • 安静

高タンパクの餌・食べ物・栄養を与える

羽の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。
換羽期には、この材料となるタンパク質・アミノ酸を強化する必要があります。

タンパク質が不足すると、鳥さんは自分の筋肉(胸筋)を分解して羽を作ろうとします。
その結果、痩せてしまうのです。

普段の食事内容によって、与えるべきものが変わります。
シード食の場合へ
ペレット食の場合へ

(参考記事)おすすめの餌|ペレットとシードの選び方

シード食の場合:ネクトンBiotinに切替え

シード(種子)をメインに食べている鳥さんの場合は、サプリメントの活用が最も効果的です。
シードだけでは、羽を作るために必要なビタミンやアミノ酸を十分に摂取できないからです。

サプリメントは、アミノ酸が多く含まれるネクトンBiotin(旧ネクトンBIO)がおすすめです。

ネクトンは鳥の動物病院でも使用されている信頼性の高い栄養剤です。
普段はネクトンSを使い、換羽期にはネクトンBiotinに切り替えましょう。
飲み水に混ぜて与えることをおすすめします。
ネクトンの使い方

ネクトンBiotinの補助として、以下のような食べ物を追加するのもおすすめです。

  • エン麦(オーツ麦)
  • 炒り卵(全卵で油・調味料なし)

ペレット食の場合:高タンパク質のペレットに切替え

普段のごはんがペレットであれば、高タンパクのペレットに切り替えます。

高タンパクペレット(換羽期用)
  • ハリソン ハイポテンシー
  • ラウディブッシュ ブリーダー

体重が増えてしまう場合は、通常食と半々に混ぜて調整してください。

なお、主食がペレット(7割以上)の場合は、ビタミン過剰になるためネクトンなどのサプリメントは追加しません。ペレットだけで十分な栄養が摂れているからです。

初めて高タンパクペレットを与える場合は、「きちんと食べているか?」「体重が減っていないか?」を確認しながら切り替えてください。味が違うと食べない子もいます。

ハリソン ハイポテンシー

セキセイインコ文鳥におすすめの粒のサイズ:スーパーファイン(極小粒)

オカメインコにおすすめの粒のサイズ:ファイン(小粒)

ラウディブッシュ ブリーダー

セキセイインコ文鳥におすすめの粒のサイズ:ニブルズ

オカメインコにおすすめの粒のサイズ:ミニ

体重測定

換羽中は代謝が上がり、消費エネルギーが増えます。
食べていても体重が減りやすい時期ですので体重管理が大切です。

毎日、朝ごはん前の体重測定をおすすめします。

体重が増減に合わせて、食事量を調整してください。
(参考記事)1日の餌の量

換羽期は体調を崩しやすい時期です。
いつも以上に注意深く鳥さんの様子を観察するようにしてください。

体重計は0.1g単位ではかれるキッチンスケールがおすすめです。

膨らんでいたら保温

新しい羽を作るために多くのエネルギーを割く必要があるため、寒い環境にいると体温維持にエネルギーを奪われ、体調を崩しやすくなります。

また、羽が抜けている時期は断熱効果(保温力)が落ち、鳥さんは普段より寒さを感じやすくなっています。

換羽期の保温は必須ではありませんが、体力の消耗を抑えるために強く推奨されます。
鳥さんが寒がっていたら保温してあげましょう。

鳥が寒がっているサイン
  • 羽を膨らませる
  • 足やくちばしが冷たい

健康な成鳥なら20〜25度を目安に、寒暖差の少ない環境を作ります。
もし膨らみが収まらない時は、30〜32度を目安に温度を上げ、足が温かくなるまでしっかり温めてあげてください。

必要な保温グッズ
  • ヒーター(保温電球)
  • サーモスタット(温度調整装置)
  • 温度計
  • カバー

ヒーター(保温電球)

サーモスタット(温度調整装置)

温度計

アクリルケース

詳しくは、「保温方法」をご覧ください。

安静

換羽期は体力を消耗していますので、過ごし方は、鳥さんの様子を見ながら、対応する必要があります。

換羽期に元気がない場合は、放鳥は控えて、安静に過ごしましょう。
いつもどおり元気であれば、放鳥しても問題ありません。

水浴びについても、体調が悪いときや寒いときは控えます。
体が冷えて、さらに体力を奪ってしまうからです。
元気であれば水浴びをしても良いですが、濡れたままにして体温が下がらないよう注意してください。
遠くからドライヤーの温風を当てるなどして、素早く乾かしてあげましょう。

換羽期は、「高タンパクな食事」「体重管理」「保温」「安静」で愛鳥をサポートすることが大切です。
特に「換羽がひどい、激しい」と感じるときは、換羽を甘く見ず、体調を崩さないように注意してあげてください。

換羽で動物病院を受診する目安

換羽は自然な生理現象ですが、体に大きな負担がかかるため、「ただの換羽だろう」と油断していると手遅れになることがあります。
動物病院を受診すべき目安をお伝えしていきます。

自宅で様子を見てよいケース
  • 体重が維持できている
  • 保温で元気になる
  • 食欲がある

「いつもより少し元気がない」のは換羽でよくある症状です。
しかし、以下の症状が現れた場合は病気の可能性があります。

病気の可能性が高い危険な症状
  • 嘔吐や黒色便(胃出血のサイン)
    換羽をきっかけに隠れていた病気(胃炎など)が悪化している可能性
  • 呼吸器症状(鼻水、くしゃみ、呼吸が荒い)
    換羽による免疫低下で、細菌や真菌に二次感染した可能性

その他にも、以下の症状がある場合は、緊急事態です。迷わず動物病院を受診してください。

すぐ病院を受診した方がいいケース
  • 体重減少
    急に体重の10%以上減少している場合は危険
    (例:30gのセキセイなら3g以上)
  • 保温しても回復しない
    30℃程度に保温しても元気にならない、足が温まらない場合
  • 明らかな体調不良
    膨らんでうずくまる
    ぐったりしている
    呼びかけに反応しない
    止まり木に止まれない

続いて、換羽と間違えやすい羽が抜ける病気について、お伝えします。

換羽と間違えやすい羽が抜ける病気

愛鳥さんの羽が抜けているとき、それが「自然な生え変わり」なのか「病気による脱毛」なのかを判断することは非常に重要です。

羽軸(うじく:羽の根元)が黒ずんでいたり、地肌が見えるほど抜けていたりする場合は、病気の可能性が高いです。

通常の換羽では、羽が抜けてもすぐに新しい筆毛が生え、地肌が完全に露出することはほとんどありません。

換羽と間違えやすい病気例
  • PBFD
  • 毛引き
  • 肝臓や甲状腺の病気
  • 文鳥の薄毛
  • 真菌性皮膚炎

特にPBFDは、セキセイインコなどに多い恐ろしいウイルス感染症です。「抜けた羽の根元が黒い」「羽がねじれている」といった異常がある場合は、一刻も早い受診が必要です。

また、お腹や背中だけがハゲていて「頭の羽はきれい」という場合は、ストレスによる毛引き(けびき)の疑いがあります。自分で抜けない頭部は無事なのが、換羽との大きな違いです。

以下のチェックリストで、愛鳥さんの状態を確認してみましょう。

【換羽と病気の見分け方】

観察ポイント正常な換羽病気の疑い
羽の根元白くてきれい黒い血の塊がある
抜ける場所全身まんべんなく特定の場所(頭以外など)
羽の色・形変化なし黄色に変色、ねじれ
生え方ツンツンした筆毛生えない、変形、スカスカ
皮膚の状態きれい赤み、ガサガサ、かゆみ

もし、「換羽にしては長引く」「地肌が見えている」「羽の形や色がおかしい」といった症状があれば、様子を見ずに動物病院を受診することをおすすめします。

毎月換羽が来る、換羽が終わらない場合

毎月のように羽が抜けたり換羽が終わらない場合、主な原因は発情サイクルの乱れにあります。

鳥さんの体は発情が落ち着いたときに、換羽スイッチが入る仕組みです。
室内飼育では一年中あたたかく食べ物が豊富なため、発情と換羽が小刻みに繰り返されてしまいます。

もも小鳥の動物病院
もも小鳥の動物病院

羽が常に抜け落ちることが当たり前になって、獣医師に言われて初めて「換羽」だと気づく飼い主さんも多くいらっしゃいます。こうしたホルモンバランスが乱れた状態は鳥の健康に良いとは言えません。

対策として最も重要なのは発情コントロールです。

食事制限を行い、適切な体重を維持しましょう。
そして、季節感(日照時間や気温の変化)を感じさせて、鳥さんの体に今は繁殖期ではないと認識させてあげてください。

ダラダラ続く換羽は、想像以上に体力を奪います。
発情を穏やかに整えることが、トラブルを解決する一番の近道です。

ネクトンの使い分け

換羽が頻繁にある場合、ネクトンBiotinを換羽期以外も使い続けるのはおすすめしません。
栄養バランスが偏るリスクがあるため、換羽の「波」に合わせて使い分けましょう。

  • 羽が激しく抜ける・筆毛が多い時期:ネクトンBiotin
  • 羽が抜ける量・筆毛が少ない時期:ネクトンS

もし頻繁に切り替えるのが難しい場合は、「SとBiotinを半々に混ぜて与える」方法も有効です。普段よりアミノ酸を強化しつつ、ビタミンバランスを維持できます。

ネクトンの種類や使い方については「ネクトンの使い方」をご覧ください。

まとめ:換羽期は栄養・体重管理・保温をしっかりと

換羽は、鳥さんにとって「命がけのイベント」です。
体力を消耗し、免疫力が下がる時期だからこそ、飼い主さんのサポートが何より大切になります。

換羽は病気ではありませんが、換羽をきっかけに隠れていた病気が表面化することがあります。

体重が激減している、保温しても元気にならない、呼吸がおかしい、羽の根元が黒いといった症状があれば、すぐに鳥を診られる動物病院を受診してください。

愛鳥のために適切な食事や環境を整えて、鳥さんにとってつらい時期を一緒に乗り越えてあげましょう。

お願い

本記事は獣医師として丁寧に解説していますが、あくまで一般的な内容です。 もし愛鳥さんの元気がない・膨らんでいるなど「おかしいな」と感じたら、ネットの情報だけで様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。飼い主さんの早めの判断が、小さな命を救います。

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