大切な愛鳥が虹の橋を渡ったときに、より良いお別れとなるように、鳥の獣医師として、自分自身や動物病院での経験談をお伝えします。
一番多く選ばれているのは火葬です。
筆者も火葬をおすすめします。
お見送り方法の概要と火葬をおすすめする理由を詳しく解説していきます。
愛鳥が亡くなったらどうする?
やるべき3つのこと

- 遺体を安置する
- お見送り方法を決める
- 火葬の予約を取る
お見送り方法は、焦らず自分自身が納得できる方法を選んでください。
- 火葬・お葬式(ペット葬儀会社)
- 自治体(合同火葬・焼却)
- 土葬(自宅の庭等に埋葬する)
- プランター葬(プランターに埋葬する)
火葬を行う場合は、まず予約を取りましょう。
個別火葬は予約が取りにくいことがあります。
ペットの忌引き休暇は一般的ではない
忌引き(きびき)は、親族が亡くなったときに、葬儀を行うために取得できる特別休暇です。
法律で定められたものではなく、会社が福利厚生の一環として設けている制度です。
最近はペットの忌引きを認める企業も少しずつ増えていますので、まずは会社の就業規則を確認してみましょう。
忌引きが取得できない場合でも、お別れの時間を確保する方法はあります。
最も現実的なのは、有給休暇を利用することです。
- ペットの忌引は一般的ではない
- 有給休暇を取得するのが現実的
- 火葬車を検討する(深夜・早朝・自宅可)
火葬車という選択肢もあります。
火葬車(火葬ができる車)は、時間や場所の融通が利きやすい火葬方法です。
自宅の近くまで来てくれるため、深夜や早朝でも家族だけで静かに火葬を行うことができます。
お見送りまでの日数(安置期間の目安)
お見送りは、早い方が望ましいですが、焦る必要はありません。
遺体を安置できる期間の目安を示しますので、納得のいくお別れができるように、お見送り方法の検討期間の参考にしてください。
- 夏は1~2日
- 冬は2~3日
1週間くらい
数週間
遺体の安置が最優先
まず最初に、亡くなった愛鳥の遺体をきれいに整え、安らかに安置してあげましょう。
死後硬直は1〜2時間ほどで始まる
死後硬直は1〜2時間ほどで始まります。
死後硬直が始まる前に、姿勢を整えてあげましょう。
遺体を安置する手順
- 姿勢を整える
- 体を拭く
- 棺に入れる
- 涼しい場所に安置する
姿勢を整える
死後硬直が始まる前に、姿勢を整えてあげます。
目を開けて亡くなることも多いです。
目が開いていたら閉じてあげましょう。
体を拭く
体を拭いて綺麗にしてあげてください。
棺(ひつぎ)に入れる
キッチンペーパーやタオル等で包み、棺に入れます。
- 箱
- 段ボール
- タッパー
- ジップロック
涼しい場所に安置する
腐敗を防ぐため遺体を冷やす必要があります。
セキセイインコ、オカメインコ、文鳥などの小鳥であれば、冷蔵庫で安置することができます。
保冷剤、ドライアイス等でも数日間安置できます。
早めに供養してあげるのが望ましいですが、時間がかかりそうな場合は、冷凍庫に安置することもできます。
お見送り方法の種類

ペットの鳥のお見送り方法は4種類あります。
ご自身やご家族の気持ちに合った方法を選びましょう。
火葬・お葬式(ペット葬儀会社)
ペットの鳥も、火葬やお葬式をすることができます。
多くのご家庭が選択する、最も一般的な方法です。
ペットの鳥の火葬をするには、ペット葬儀会社に依頼する必要があります。
セキセイインコのような小さい鳥でも、火葬すると、遺骨が残ります。
火葬をすれば、手元供養や納骨ができます。
自治体(合同火葬や焼却)
自治体によって対応が異なります。
合同火葬や焼却処分されるのが一般的です。
動物の遺体は一般的に廃棄物処理法に基づく「一般廃棄物」として処理されることが多く、自治体の役割は衛生的に処理することが主目的です。
行政サービスの一環として提供されるため、ペットに対する供養や尊厳を重視した対応は民間の火葬業者よりも限定的です。
丁寧なお見送り(個別火葬、お葬式、返骨など)を希望する場合は、ペット葬儀会社での火葬・お葬式を依頼する必要があります。
土葬
土葬は、亡くなったペットの鳥の遺体を、そのまま土に埋める方法です。
土葬できる場所
基本的に、自宅の庭に埋葬することになります。
- 私有地(手放す予定がない)
- 近くに水源や農地がない
- 隣の家と一定の距離がある
法律違反に注意
ペットの遺体を土葬できる場所は限られます。
土葬のデメリット
- 土葬できる場所は制限が多い
- 引っ越ししにくい
- 動物に掘り起こされるリスク
- 虫や臭いが発生するリスク
基本的に、「自宅の庭」がなければ土葬はできません。
動物や虫による被害を避けるためには、セキセイインコのような小さい鳥でも、深く穴を掘り埋める必要があります。
動物に掘り起こされないようにするためには、1m以上の深さにしておくと安心です。
土葬の代替案
| 土葬ができない理由 | 代替案 |
|---|---|
| 土葬できる場所がない (賃貸・自宅に庭がない) | ・火葬 ・プランター葬 |
| 引っ越しの可能性がある | ・火葬(手元供養) ・プランター葬 (移動が簡単) |
| 動物に掘り起こされるリスク 虫や臭いが発生するリスク | 火葬してから土葬 (遺骨を庭に埋める) |
プランター葬
プランター葬とは、遺体や遺骨をプランターに埋葬するお見送り方法です。
埋葬したプランターで植物を育てることもできます。
- 手元で供養できる
- 自然に還せる
- 安くて手軽
- 虫や臭いが発生する
- 雨風、動物の掘り起こし、植物の植替えで遺体が出てくる
- 管理が大変(水やり・置き場所)
- 土に還るまでに10〜30年かかる
- 最後はごみとして捨てざるを得ない(自宅の庭が無い場合)
詳しくは「プランター葬の概要」にまとめていますのでご確認ください。

筆者は、セキセイインコのお墓をプランター葬にした経験があります。
デメリットを知らずプランター葬を選んでしまい、後悔しています。
現在もプランター葬のその後の対応に悩んでいます。
必ず「プランター葬のデメリット」を確認してから実行してください。
ペットの遺体処理に関する法律違反に注意
飼い主様にとっては大切なペットの遺体でも、法律上は「一般廃棄物」に区分されます。
公共の場所に埋めてはいけない
廃棄物処理法や家畜伝染病予防法などの法律で、「動物の死体」の処理方法が定められています。
ペットの土葬に関する条例は、自治体によって異なります。
私有地以外の場所に埋葬すると「不法投棄」となります。
私有地内だとしても川や湖などの近くに埋葬することは、水道汚染につながるおそれがあるため禁止されています。
自分で火葬してはいけない

日本では、ペットの遺体は法律上「一般廃棄物」となります。
根拠となる法律は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
自分でペットを火葬することは、「野外焼却(野焼き)」と見なされ、禁止されています。
・第16条の2(焼却禁止)
廃棄物を焼却してはならない・第25条(罰則)
第16条の2の規定に違反して、廃棄物を焼却した者は、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ペットの火葬には特別な施設や許可が必要です。
終わりに:愛鳥と残された家族の為に心を込めてお見送りを
愛鳥のお見送り方法についてお話ししてきました。
心を込めてお見送りしてあげることが、大切な愛鳥にできる最後の贈り物です。
この記事が、大切な家族との最期のお別れを、後悔のない、そして心温まる時間にすることに少しでもお役に立てれば幸いです。

