.jpg)
鳥の飼育グッズは、何を準備すればいいの?

商品がたくさんありすぎて、どれを選べばいいかわからない…
飼い鳥(セキセイインコ、オカメインコ、文鳥など)が健康に長生きするためには、飼育グッズ選びがとても重要です。
間違った飼育用品は、病気や事故の原因になることもあります。
市販されている飼育用品の中には、事故や病気のリスクがあり、おすすめできない商品が少なくありません。
残念ながら知識不足で間違った飼育用品をすすめているペットショップも存在するため注意が必要です。
危険な商品が通販でよく売れているのも事実です。

知識がないまま不適切な道具を選んでしまい、防げるはずの事故や病気で来院されるケースを、診察室で数多く目にしてきました。
この記事では、「鳥たちが本来の寿命を全うし、幸せに長く生きられる」ような選択ができるよう、獣医学的に正しい情報をお伝えします。
雛から成長後(大人の鳥)まで本当に必要な飼育用品を紹介します。
- 本当に必要な飼育グッズが全て分かる
- 安全な飼育グッズが分かる
- 雛から成鳥まで、生涯を通じて役立つ健康管理の知識が身につく
初めて鳥を飼う方でも、このチェックリストを見ながら準備すれば、誰でも迷うことなく、理想的な飼育環境を整えることができます。
愛鳥との長く幸せな毎日のために、お役に立てますと幸いです。
もも小鳥の動物病院 院長・獣医師 腰原真由
この記事は、鳥専門獣医師が、学術論文や獣医学書、診療現場での経験をもとに、飼い主さんの判断の助けになるよう整理しています。
▶プロフィールはこちら
インコ・文鳥の飼育に必要なもの
鳥の健康のために「必須の飼育グッズ」と「あると便利な飼育グッズ」を、雛(ヒナ)と大人の鳥(若鳥・成鳥)それぞれについて、分かりやすくお伝えします。
雛の成長の目安(セキセイインコの場合)
道具を揃える前に、ヒナがいつまでその環境で過ごすのか、成長のスケジュールを確認しておきましょう。
ペットショップでよく見かけるセキセイインコの雛は、生後3〜4週間くらいです。
その後2〜3週間であっという間に鳥かごでの生活に切り替わります。
大人の鳥用の飼育グッズもあらかじめ準備しておくと安心です。
| 時期 | 状態・様子 | 食事 | 環境 |
|---|---|---|---|
| 生後3〜4週 | ・綿羽(ふわふわ) ・体重30〜40g | 挿し餌 中心(1日3〜5回) | ・プラケース ・保温(28〜30℃) |
| 生後5週 | ・飛ぶ練習を開始 | 一人餌の練習開始 | ・プラケース ・保温(26~32℃) |
| 生後6週以降 | ・羽が生え揃う ・しっかり飛べる ・体温調節が安定 | 一人餌 | 鳥かごへ移行 |
雛の飼育セット【必須】
まだ飛べない雛の時期は、 親鳥の巣の中に近い「安全で温かい環境」を再現することが大切です。
ここでは、雛の命を守るために必須となる飼育用品を紹介します。
プラスチックケース
雛は止まり木に止まることができません。
そのため、金網の鳥かごではなく、プラスチックケースや水槽などで飼育します。
プラスチックケースを使う理由は、保温性が高く、安全だからです。
成長して大人の鳥になっても、通院などの移動時や体調不良時に必要になります。
挿し餌
雛の餌選びはとても重要です。
健康な大人の鳥に成長するために、正しい知識を持って、栄養バランスの良い餌を食べさせてあげてください。
パウダーフード(フォーミュラー)
雛専用の総合栄養食として「パウダーフード(フォーミュラー)」が販売されています。
お湯で溶かし、ポタージュ状にして与えます。
昔は飼い鳥の栄養に関する情報が普及しておらず、粟玉(あわだま)だけで育てることもありましたが、現在はパウダーフードが基本です。
ムキアワ
アワ(粟という植物の種子)の殻を取り除いたものです。
必須ではなく、鳥さんに合わせて補助的に使用します。
- パウダーフードに混ぜる
- 一人餌への切り替え練習
昔ながらの「粟玉(あわだま)」のみでの飼育は、 必要な栄養が足りず危険です。
市販の粟玉は、ムキアワ(皮をむいた粟)にごく少量の卵黄を絡めたもので、実際には有効な卵成分はほとんど含まれておらず、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足します。
すると、栄養障害によって栄養性脚弱症(脚弱症)やくる病となり、以下の状態を起こします。
- 足がふらつき立てない
- 骨や関節が変形
特に雛の時期は成長が早く、 餌の選択ミスがそのまま命に関わるケースも少なくありません。
そのため現在は、 雛の発育に必要な栄養素が科学的に配合された パウダーフード(フォーミュラー)を主体とした飼育が強く推奨されています。
給餌用品
挿し餌を与えるための道具は、スプーンが推奨されています。
雛が「自分で食べる」ペースに合わせて与えることで、食欲の有無が確認できます。
注射器型の器具は、無理に流し込むと気管に入ってしまい、誤嚥(ごえん)・窒息を起こす危険があります。そのう(食道の一部が袋状になった消化器官)の火傷・穿孔(せんこう 穴が空くこと)も発生しています。
保温用品
雛は体温調節がうまくできないため、保温が必要です。
温度は30〜32℃くらいを保ちます。
- ヒーター
- サーモスタット
- 温度計
- カバー
ヒーター
温度を上げる能力が高い保温電球(ひよこ電球)を使います。
火傷を防止するため、雛が直接触れないよう「プラスチックケースの外」に設置してください。
ブックスタンドにかけると安全に設置できます。
サーモスタット
サーモスタットとは、温度を自動で調整する機械です。
保温電球と接続して、温度を設定して使います(30〜32℃)。
サーモスタットがないと、適切な温度を維持できないため必須の道具です。
高温になりすぎると熱中症のリスクがあります。
温度計
ケース内の実際の温度を目で確認します。
感覚に頼らず、数値で管理してください。
鳥が過ごす場所に設置します。
カバー
温度を維持するため、カバーが必要です。
- プラスチックケース(雛が過ごす場所)と保温電球がすっぽりおさまる十分な大きさ
- 可燃性でない(火事防止)
- 空気の通り道を確保できる(酸欠防止のため密閉禁止)
アクリルケースが最適です。
鳥かごの保温用としても使用できます。
段ボールでも代用できますが、保温電球と接触しないように5cm以上離して、火事にならないように注意が必要です。
ビニールカバーは、有毒ガスが発生するリスクがあるため避けてください。
保温用品は特に事故が多いです。
火事、熱中症、酸欠、有毒ガス、保温不足にくれぐれもご注意ください。
詳しくは、「保温方法」をご覧ください。ヒーター・カバーによる事故についても解説しています。

床材
プラスチックケースの底に敷く床材が必要です。
キッチンペーパーが最適です。
- 吸水性が高い
- 交換が簡単
- 糞の状態が見やすい
床材としておがくず(ウッドチップ)はNGです。
- 誤食:雛が食べると消化管に詰まる(食滞)リスクがあります。
- 呼吸器障害:細かいホコリを吸い込んで呼吸器を痛める原因になります。
- カビの温床
体重計
鳥の健康管理には体重計が必要不可欠です。
「0.1g単位」で測れるキッチンスケールがおすすめです。
鳥は見た目だけで痩せているか判断できません。
気づいた時には手遅れ(餓死)になることを防ぐため、必ず用意してください。
【ヒナの体重測定はなぜ必要なの?】
- 食べた量の把握
挿し餌の「前」と「後」に測ることで、実際に食べた量をグラム単位で確認できます。
「口を開けているけど実は飲み込めていなかった」という事故を防げます。 - 一人餌切り替えの判断
撒き餌をつつき始めた頃、体重が激減していないかを確認します。
目視では分からない「食べているつもり」を発見し、餓死を防ぐ命綱になります。
【測り方のルール】
- 鳥をプラケースなどの容器に入れて測ります。
容器の重さを引く「風袋引き」機能を使うと便利です。 - 毎朝一番(食事前)の体重を記録し、日々の増減をチェックします。
大人の鳥の飼育グッズ【必須】
生後1ヶ月半〜2ヶ月ほど経ち、一人で餌を食べ、しっかり飛べるようになったら「大人の生活」へ移行します。ここからは、10年〜20年続く長い生活の基盤となるグッズです。
餌
食事は、鳥の健康を左右する最も重要な要素です。
主食には2つの選択肢があります。
- ペレット(おすすめ)
- シード(種子)+ネクトン(栄養剤)
ペレット
鳥に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
- 栄養不足を防げる
- 好きなものだけ食べる「選り好み」を防止できる
ただし、すでにシードを食べている鳥は、なかなか食べてくれないことがあります。
シードとネクトン
シードとは、アワ・ヒエ・アワなどの植物の種子です。
シードは皮付き(栄養が含まれ鮮度が高い)を選びましょう。
嗜好性は高いですが、シードだけでは栄養が不足します。
ネクトンは、鳥用の栄養剤(ビタミン・ミネラル)です。
シード食の場合は必須です。
詳しくは「ネクトンの種類と使い方」をご確認ください。
【シードだけでは病気になります】
シードは人間でいう「白米」のようなもので、それだけでは栄養不足で病気になります。
実際に肝臓や甲状腺の病気が多く発生しています。
シードを与える場合は、ネクトンを必ず併用してください。
鳥かご・止まり木・食器
鳥かごは、鳥が一生のほとんどを過ごす場所です。
鳥の健康と幸せのため、安全で快適なものを選んであげてください。
鳥かご
鳥かご(ケージ)の選び方をお伝えします。
- 材質:ステンレスがおすすめ
安価なメッキや塗装のケージは、数年でサビたり塗装が剥がれたりし、それを鳥がかじることで「金属中毒(鉛・亜鉛中毒)」を起こすリスクがあります。
ステンレスは初期費用(2万円前後〜)がかかりますが、サビにくく10年以上使えるため、結果的にコストパフォーマンスが良いです。 - おすすめメーカー:HOEI(ホーエイ)
安全な金属を使用し、信頼性が高いため安心して長く使用できます。 - 形状:四角い形
詳しくは「鳥かごの選び方」をご覧ください。
止まり木
鳥が止まった時に、指が円周の2/3を握れる太さが理想です。
太すぎても細すぎても、足に負担がかかります。
自然木のとまり木(ニームなど天然の木で作られた止まり木)を使うと以下のメリットがあります。
- 足への負担が少ない
- かじることでストレス解消になる
- 自然な太さの変化がある
同じ太さの止まり木だけでは、いつも同じ場所に体重がかかり、足の裏にタコができ炎症を起こす病気(趾瘤症 しりゅうしょう・バンブルフット)を起こすことがあります。
食器
最低限、餌入れと水入れが必要です。
鳥かごに付属の深い食器でも飼育は可能ですが、獣医師としては「浅い食器」をおすすめします。
必要に応じて、菜差しや副食用の食器も準備します。
毎日洗って乾燥させるため、予備も必要です。
「浅い食器」のメリット
- 食べた量が分かりやすい
浅い食器は減り具合や食べ残しが見た目で分かりやすく、食欲不振にすぐ気づけます。 - 異常な飲水(多飲)に気づける
病気の兆候として水をガブガブ飲むことがありますが、深い容器にたっぷり入っていると気づけません。浅型で少量の水なら、減り具合で異変を察知できます。 - 投薬やネクトンに最適
ネクトンや薬を水に溶かして与える場合、飲みきれる量(数cc)で作らないと大量に捨てることになり不経済です。浅型なら少量の水で作れるため、無駄がなく、管理もしやすくなります。 - 食べやすい
鳥の餌は1日に必要な量をきちんとはかって与えることが推奨されています(セキセイインコなら3〜4g程度)。深い容器だと、この量では底の方に少しあるだけで非常に食べにくく、浅型なら自然な姿勢で食事ができます。
体重計
鳥の健康管理には、体重測定はとても大切です。
選び方はヒナと同じく、「0.1g単位で測れるキッチンスケール」を用意してください。
鳥は病気になってもギリギリまで元気に振る舞って病気を隠す習性があります。
「見た目が元気がない」と気づいた時には、かなり病気が進行していることが多いのです。
体重計があれば、病気の早期発見につながります。
保温用品
大人の鳥にもヒーターの準備は必要です。
おすすめは、ヒナと同じく「保温電球」です。
その他にもサーモスタット、温度計、カバー(アクリルケース)が必要になります。
健康な成鳥の適温は20~25℃程度ですが、季節の変わり目や、体調を崩した時には30℃以上の保温が必要になります。
「具合が悪くなってから買いに行く」のでは間に合いません。
冬場だけでなく、「看護用」として常に常備してあげてください。
詳しくは、「保温方法」をご覧ください。

爪切り用品
大人の鳥には爪切りが必要です。
爪切りの頻度は個体差がありますが、1〜2ヶ月に1回程度が目安です。
爪切りは動物病院で行うことをおすすめしますが、自宅で行う場合は、ニッパー(工具)と止血剤(クイックストップ)が必要です。
爪切りの回数減らすことができる「備長炭のとまり木」(爪とぎ効果あり)もおすすめできます。
爪切りは事故につながりやすく、道具選びや使い方には注意点があります。
詳しくは「爪切りと止血」をご確認ください。
爪切りをしないリスク:爪が伸びすぎると骨折、骨の変形につながります
爪切りの失敗:命にかかわるケガや出血のリスクがあります
あると便利な飼育グッズ
鳥との生活をより良くするための飼育グッズを紹介します。
優先順位は少し下がりますが、揃えておくと健康管理に役立ち安心です。
アクリルケース
鳥かごを丸ごと覆う透明なケースです。
以下のメリットがあります。
- 保温の安全性:保温時のカバーとして最も安全です
- 衛生面:脂粉(鳥の体から出る白い粉)や汚れ(フン、水、餌)が部屋に飛び散るのを防ぎます。
- 防音効果:呼び鳴きの声を軽減します
特に保温の安全性ために強くおすすめします。
アクリルケース以外のカバー(ビニールカバー、段ボール、毛布など)は、火事や有毒ガスなどリスクが高いため、取り扱いに注意が必要です。
まとめ
鳥の飼育用品は、単に「飼うため」だけのものではありません。
「健康を守り、病気を予防するため」のものです。
特に重要なのは以下の2点です。
1. 食事管理
栄養バランスの良い食事が基本です。
ペレットを与えるか、シード主食の場合は、必ずネクトンなどのサプリメントを併用しましょう。
2. 温度管理
ヒーター・サーモスタットは、雛の時期だけでなく成鳥になっても必要です。
病気の時の保温は、薬以上に重要な治療になることもあります。
これらは鳥の寿命を左右する重要な要素です。
正しい知識と道具を揃えて、愛鳥との幸せな生活をスタートさせましょう。
本記事は獣医師として丁寧に解説していますが、あくまで一般的な内容です。 もし愛鳥さんの元気がない・膨らんでいるなど「おかしいな」と感じたら、ネットの情報だけで様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。飼い主さんの早めの判断が、小さな命を救います。



